Git と GitHub 入門版 0.5.16(ドラフト) ・ 2026-10-24 ・ 作成者 chitchi1216

第2章 / 目安 50〜70分

ターミナル入門

この章でできるようになること

2-1. ターミナルとは

ターミナルは、パソコンに文字で指示を出す画面です。エクスプローラーは、マウスでクリックして指示を出します。ターミナルは、キーボードで「コマンド」という短い命令を打って指示を出します。操作する相手は、どちらも同じファイルとフォルダです。

エクスプローラー マウスでクリックして 指示を出す ターミナル キーボードで文字(コマンド)を 打って指示を出す 同じファイルとフォルダ 操作の方法が違うだけ
どちらで操作しても、結果は同じ。ターミナルで作ったフォルダは、エクスプローラーにも現れる
なぜ、わざわざ文字で操作するの? Git は、コマンドを打って使う道具だからです。「何をしたか」が文字で残るので、手順を人に伝えたり、同じ操作を正確に繰り返したりしやすくなります。難しいものではなく、「同じことを、別の言い方でお願いしているだけ」と考えてください。

この教材では、Windows 11 に最初から入っている PowerShell(パワーシェル)を使います。以降、「ターミナルを開く」と書いたら、PowerShell を開くことを指します。

☕ コーヒーブレイク:ターミナル? コマンドプロンプト? シェル? 呼び名がたくさんある理由(読み飛ばしてOK)

調べ物をしていると、「ターミナル」「コンソール」「シェル」「コマンドプロンプト」「PowerShell」「CLI」……と、似た言葉がたくさん出てきます。実は、3つの階層に分けて考えると、整理できます。

① ターミナル(窓) 文字を打ち込み、結果を表示するだけの画面。例:Windows Terminal ② シェル(受付係) 打った命令を受け取って、パソコンに伝える係 PowerShell コマンドプロンプト Git Bash ③ コマンド(ls・cd・git など)が実行され、Windows が動く
窓(ターミナル)の中に、受付係(シェル)がいて、命令を実行してくれる
呼び名意味見分け方の例(行の先頭)
ターミナル(端末)文字で操作する窓。昔は、大型コンピューターにつなぐ専用の機械(キーボードと画面)のことだった—
コンソールターミナルとほぼ同じ意味で使われる言葉—
シェル窓の中にいて、打った命令を受け取る係。名前は「貝殻」。パソコンの中心部(OS)を、殻のように包む窓口、という意味—
コマンドプロンプトWindows に古くからあるシェル(cmd ともいう)。昔の MS-DOS の流れをくむC:\Users\taro>
PowerShellコマンドプロンプトより新しい、Windows のシェル。この教材で使うPS C:\Users\taro>
Git BashGit と一緒にインストールされる、Mac や Linux と同じ種類のシェルtaro@PC MINGW64 ~ のような形
CLI「コマンドラインインターフェース」の略。文字で操作する方式全体のこと。マウスで操作する方式は GUI という—

なぜ、こんなに呼び名があるの? もともと別々のものだった「窓」と「受付係」が、時代とともに組み合わせを変えながら使われてきたためです。今の Windows 11 では、「Windows Terminal」という1つの窓の中で、PowerShell やコマンドプロンプト、Git Bash を、タブで切り替えて使えます。

困ったときの目安 ネットの手順に「ターミナルで次を実行」とあったら、この教材では PowerShell に打てばよいことが多いです。ただし、Mac や Linux 向けの手順は、Windows の PowerShell では、そのままでは動かないことがあります。行の先頭(PS が付くか)を見て、自分がどのシェルにいるかを確認してください。

※ 見た目や名前は、Windows のバージョンや設定で変わることがあります。

2-2. エクスプローラーの操作とコマンドを見比べる

次の表は、「やりたいこと」を、エクスプローラーとターミナルで比べたものです。まずは眺めて、「あの操作の、文字での言い方だな」と対応づけてください。

やりたいことエクスプローラーPowerShell(コマンド)
今いる場所を知るアドレスバーを見るpwd
中身を一覧で見るフォルダを開くと、自然に表示されるls
フォルダの中に入るフォルダをダブルクリックcd フォルダ名
ひとつ上のフォルダに戻る「↑」ボタンを押すcd ..
学習用フォルダへ移動するアドレスバーに C:\work と入力して Entercd C:\work
新しいフォルダを作る右クリック → 新規作成 → フォルダーmkdir フォルダ名
空のテキストファイルを作る右クリック → 新規作成 → テキスト ドキュメント(確認の画面は出ず、すぐにファイルができ、名前を変えられる状態になる)New-Item ファイル名.txt
ファイルを編集するダブルクリックで、メモ帳で開くnotepad ファイル名.txt
ファイルの中身を見るダブルクリックで開くcat ファイル名.txt
今のフォルダをエクスプローラーで開く(もともとエクスプローラーなので不要)explorer .
画面をきれいにする—cls

表にある .(ドット1つ)は「今いるフォルダ」、..(ドット2つ)は「ひとつ上のフォルダ」を表す、特別な書き方です。

コマンドの名前は、英語の省略形

コマンドの名前は、英語の省略形です。元の英語と意味を知ると、「なぜ、この名前なのか」が分かり、覚えやすくなります。

コマンドもとの英語意味
pwdprint working directory作業中のディレクトリを、表示する
cdchange directoryディレクトリを、変える(移動する)
lslist一覧にする
mkdirmake directoryディレクトリを、作る
cpcopyコピーする
mvmove移動する(名前の変更にも使う)
rmremove取り除く(削除する)
clsclear screen画面を、消す(きれいにする)
catconcatenateつなげる。ファイルの中身をつないで、表示する
typetype文字を打ち出す。ファイルの中身を、表示する
PowerShell 本来の名前は「動詞-名詞」 pwd や ls のような短い名前は、もともと Mac / Linux の世界で使われてきたものです。PowerShell 本来の名前は、Get-Content(内容を取得する)、Set-Content(内容を設定する=置き換える)、Add-Content(内容を追加する)、New-Item(新しい項目)、Select-String(文字列を選ぶ)のように、「動詞-名詞」の形です。英語の意味のとおりに働くので、見ただけで何をするか想像できます。

同じ操作を、2つの画面で並べてみる

C:\work\practice というフォルダを開いている状態を、2つの画面で並べると、次のように対応します。

エクスプローラー C:\work\practice 📄 memo.txt 📁 notes アドレスバー = 今いる場所 PowerShell PS C:\work\practice> PS ...\practice> ls memo.txt notes プロンプト = 今いる場所 どちらも「今いる場所」を、いつも画面に出している
アドレスバーに当たるものが、PowerShell では行の先頭の「プロンプト」
エクスプローラーと PowerShell を並べた実際の画面。どちらも C:\work\practice を表示している
実際の画面の例。エクスプローラーと PowerShell で、同じ C:\work\practice の中身(fruits.txt と memo.txt)が見えています。エクスプローラーのアドレスバーは、PC › (C:) › work › practice のように矢印で区切って表示され(クリックすると、文字のパスに変わります)、タブには C:¥work¥practice と、「¥」で出ています。PowerShell 側は、ls の結果が、同じファイルを示しています

2-3. 「現在地」を意識する

ターミナルで一番大切なのは、「今、どのフォルダにいるか」です。エクスプローラーでは、開いているフォルダが画面に見えているので、意識しなくても分かります。ターミナルでは、文字でしか分かりません。

現在地は、行の先頭に表示されます。この部分をプロンプトといいます。

PS C:\work> ← ここが現在地(C:\work にいる)
PowerShell で pwd と ls を打った実際の画面。プロンプトの C:\work\my-notes と、pwd の結果が同じ
実際の PowerShell の画面の例。行の先頭(プロンプト)の C:\work\my-notes が現在地で、pwd の結果と同じです(フォルダの名前は、あなたの画面では違います)。ls は、フォルダの中身を一覧します。日本語の Windows では、「ディレクトリ」と表示されます

コマンドは、今いるフォルダに対して実行されます。たとえば mkdir practice は、今いるフォルダの中に practice フォルダを作ります。「どこにいるか分からなくなった」ときは、pwd を打てば確認できます。

C:\work C:\work\practice cd practice(中に入る) cd ..(ひとつ上に戻る)
フォルダの出入りは、cd で行う

2-4. 絶対パスと相対パス

パスには、書き方が2種類あります。ここを区別できると、「cd がうまくいかない」ことが、ぐっと減ります。

絶対パス 住所のようなもの 「東京都千代田区…」 どこから聞かれても、同じ場所 C:\work\practice ドライブ(C:)から全部書く 相対パス 道案内のようなもの 「そこの角を右へ曲がって…」 今いる場所が違えば、行き先も変わる practice 今いる場所から、どう行くかを書く
絶対パスは「住所」、相対パスは「今いる場所からの道案内」
絶対パス相対パス
書き方ドライブ名(C:)から、全部書く今いる場所からの行き方を書く
例C:\work\practicepractice、..、.\memo.txt
今いる場所が変わると同じ場所を指す指す場所が変わる
長所どこにいても、確実に使える短く書ける
短所長くなる今いる場所を間違えると、動かない
見分け方 C: のようなドライブ名から始まっていれば、絶対パス。そうでなければ、相対パスです。

同じコマンドでも、今いる場所で結果が変わる

次の表で、cd に、絶対パスと相対パスを渡したときの違いを見てみましょう。

打つコマンド種類今 C:\work にいるとき今 C:\Users\taro にいるとき
cd practice相対C:\work\practice へ移動できるエラー(そこに practice がない)
cd C:\work\practice絶対移動できる移動できる
cd ..相対C:\ へ移動C:\Users へ移動
💽 C:\ 📁 work ← 今ここ 📁 practice 📁 Users cd practice 相対:ここから見て、隣のフォルダへ cd C:\work\practice 絶対:ドライブから全部書く cd .. 相対:ひとつ上(C:\)へ 「今ここ」が変わると、相対パスの行き先も変わる。絶対パスは変わらない
いま C:\work にいる場合の、3通りの行き方
この教材のページ内リンクも、相対パス この教材のページどうしのリンク(chapter-01.html など)や、画像の場所(images/…)は、相対パスで書かれています。「このページから見て、隣にあるファイル」という書き方なので、どこに置いても、まとめて動かせるのが長所です。Git の手順書や README でも、docs/index.html のような相対パスが、よく使われます。
☕ ここで一区切りしてOK 次は「2-5. 実際にやってみよう」からです。

2-5. 実際にやってみよう

次の手順で、学習用フォルダ C:\work を作り、その中に practice フォルダとファイルを作ります。ここで作るフォルダは、第3章以降でも使います。

打つ前に確認 入力モードを「半角英数」にしてください(第0章 0-6 の練習を参照)。コマンドと、その後ろの文字の間は半角スペースを1つ入れます。cd.. のようにスペースがないと動きません。
演習は OneDrive の外で この章の演習は、すべて C:\work の中で行います。デスクトップやドキュメントの中では行いません(第1章を参照)。

手順1:PowerShell を開き、今いる場所を確認する

Windows キーを押し、「windows powershell」と入力して、検索結果から「Windows PowerShell」を選んで Enter。(第0章を参照)開いたら、次のコマンドを打って Enter を押します。

pwd
PS C:\Users\taro> pwd

Path
----
C:\Users\taro

PowerShell を開いた直後は、自分のユーザーフォルダ(C:\Users\自分の名前)にいます(taro の部分は、人によって違います)。ここは演習には使いません。

💡 pwd は print working directory(作業中のディレクトリを表示する)の略です。

手順2:学習用フォルダ C:\work を作って、移動する

mkdir C:\work
cd C:\work
PS C:\Users\taro> mkdir C:\work

    ディレクトリ: C:\

Mode                 LastWriteTime         Length Name
----                 -------------         ------ ----
d-----        2026/10/11     10:30                work
PS C:\Users\taro> cd C:\work
PS C:\work> 

プロンプトが PS C:\work> に変わりました。C:\work のように、ドライブ(C:)から全部書いたパスは、今どこにいても使えます。

💡 mkdir は make directory(ディレクトリを作る)、cd は change directory(ディレクトリを変える)の略です。

「すでに存在します」と出たら 次のように、赤い文字で、エラーが出ます。
mkdir : 指定された名前 C:\work の項目は既に存在します。
これは、work フォルダがすでにある、という意味です。心配はいりません。そのまま次の cd C:\work に進んでください。C:\work を作れなかった場合は、第1章の「作れないときは」を見てください。

手順3:中身を見る

ls

今いるフォルダの中の、フォルダとファイルの一覧が出ます。作ったばかりの C:\work は空なので、何も表示されません。

💡 ls は list(一覧にする)の略です。

手順4:フォルダを作る

mkdir practice
PS C:\work> mkdir practice

    ディレクトリ: C:\work

Mode                 LastWriteTime         Length Name
----                 -------------         ------ ----
d-----        2026/10/11     10:31                practice

表示のイメージです。日付や時刻は、人によって違います。日本語の Windows では「ディレクトリ:」、英語の Windows では「Directory:」と表示されます。

手順5:フォルダの中に入る

cd practice
PS C:\work> cd practice
PS C:\work\practice> 

プロンプトが C:\work\practice に変わりました。現在地が移動した合図です。

手順6:ファイルを作る

New-Item memo.txt
PS C:\work\practice> New-Item memo.txt

    ディレクトリ: C:\work\practice

Mode                 LastWriteTime         Length Name
----                 -------------         ------ ----
-a----        2026/10/11     10:32              0 memo.txt

Length が 0 なのは、中身が空のファイルだからです。

💡 New-Item は「新しい項目」という意味です。フォルダも、ファイルも、「項目(Item)」です。

手順7:エクスプローラーで確かめる

explorer .

最後の .(ドット)を忘れないでください。エクスプローラーが開き、practice フォルダの中に memo.txt があるはずです。ターミナルで作ったものが、エクスプローラーにも見えることを確認してください。確認できたら、エクスプローラーは閉じて構いません。

💡 explorer は、エクスプローラーを起動するコマンドです。最後の . は「今いる場所」を表します。

手順8:ターミナルから、メモ帳を起動する

notepad memo.txt

メモ帳が開きます。hello と書いて、最後に Enter を押して改行してから、保存してください(Ctrl + S)。保存したら、メモ帳を閉じます。

メモ帳で memo.txt を開いた画面。右下に UTF-8 と表示されている
notepad memo.txt で開いたメモ帳の例(この写真は、日本語の行と second line の行も書いてあります)。上に装飾のボタンが並んでいますが、使いません。右下の「UTF-8」は、保存するときの文字の形式で、あとの「文字化け」の話に関係します
ターミナルからアプリを起動できる notepad や explorer のように、アプリの名前を打つと、そのアプリが起動します。notepad memo.txt は「メモ帳で memo.txt を開いて」という指示です。メモ帳を開いたままでも、ターミナルに戻って、次のコマンドを打てます。
日本語を書くと、cat で文字化けする(ファイルは壊れていない) メモ帳で、日本語(たとえば「こんにちは」)を書いて保存し、cat memo.txt で表示すると、縺薙s縺ォ縺。縺ッ のような、意味の分からない文字になります。ファイルが壊れたのではなく、読み取りの文字コードが合っていないだけです。メモ帳は、日本語を「UTF-8」という形式で保存しますが、Windows PowerShell(5.1)は、初期設定では、別の形式として読むためです。
読むときに、-Encoding UTF8 を付けると、正しく表示されます。
cat memo.txt -Encoding UTF8
この章の手順では、半角の英語(hello)だけを使うので、影響はありません。

手順9:中身をターミナルで見て、ひとつ上へ戻る

cat memo.txt
cd ..
PS C:\work\practice> cat memo.txt
hello
PS C:\work\practice> cd ..
PS C:\work> 

プロンプトが C:\work に戻れば完了です。メモ帳で書いた内容が、ターミナルでも読めました。

💡 cat は concatenate(つなげる)の略です。ファイルの中身を、つないで表示します。

次に PowerShell を開いたら cd C:\work と打てば、学習用フォルダに移動できます。毎回、ここから始めてください。
☕ コーヒーブレイク:「フォルダ」と「ディレクトリ」、OS によって呼び方が違う?(読み飛ばしてOK)

手順4で、mkdir というコマンドを使い、表示に ディレクトリ:(英語の Windows では Directory:)と出ました。「フォルダを作ったのに、ディレクトリ?」と思った人もいるはずです。フォルダとディレクトリは、同じものの別名です。どちらの名前を使うかは、「画面で見るか」「文字で扱うか」と、時代と OS の歴史で決まっています。

画面で見る・クリックする 📁 フォルダ エクスプローラー(Windows) Finder(Mac) folder 文字で打つ・技術の資料 ディレクトリ mkdir = make directory 表示の「ディレクトリ:」 directory 同じもの どちらも「ファイルを入れる入れ物」。呼び方が違うだけ
画面ではフォルダ、コマンドや技術資料ではディレクトリと呼ばれることが多い

なぜ、2つの呼び方があるの?

  1. 「ディレクトリ」は、コンピューターの世界で古くからある言葉です。もとは「名簿」「電話帳」のような意味で、「どのファイルが、どこにあるか」の一覧のことでした。UNIX など、文字で操作する OS で、広く使われてきました。MS-DOS にも mkdir(make directory)などのコマンドがあり、Windows のコマンドが今もその名前を引き継いでいます。
  2. 「フォルダ」は、画面で操作する時代に生まれた言葉です。1980年代、机の上の書類を紙ばさみ(フォルダ)に入れて整理するたとえで、マウスで操作する画面が作られました。Windows も、1990年代半ばごろから、画面では「フォルダ」と呼ぶようになりました。
  3. その結果、同じものを、場面によって呼び分けるようになりました。エクスプローラーを見ているときは「フォルダ」、コマンドや、Git などの技術資料を読むときは「ディレクトリ」と書かれていることが多いです。

OS による、ほかの違い

呼び名だけでなく、Windows と Mac / Linux では、パスの書き方も違います。ネットの資料や Git の説明には、Mac / Linux の書き方が多く出てくるので、読み替えられると便利です。

項目WindowsMac / Linux
パスの区切り\(または ¥)。PowerShell や Git では / も使える/(スラッシュ)
いちばん上ドライブ(C: など)ルート(/)ひとつだけ
自分のフォルダの例C:\Users\taroMac は /Users/taro、Linux は /home/taro
隠しファイル「隠す」という設定(属性)で隠す名前の先頭が .(ドット)のものは、隠しファイル
Git の資料では、/ が出てきても大丈夫 Git は、もともと Linux 向けに作られたため、資料のパスは docs/index.html のように / で書かれています。Git は、Windows でも / を理解できます。PowerShell でも cd C:/work のように、/ で書いて動きます(注意点は、第1章の「「/」(スラッシュ)でも書ける」を見てください)。パスの書き方の違いで、手順が動かないことはあまりありません。ただし、ネットで見つけたコマンドは、意味が分からないまま打たないでください(特に、消す・上書きするものは危険です)。
.git も、この「隠しファイル」の仲間 第3章で出てくる、Git の記録を保存する .git は、名前の先頭が . です。Mac / Linux では、これで隠しファイルになります。Git は Windows でも、.git を隠しフォルダにします。エクスプローラーで見えなくても、そこにあります。

※ 年代や経緯には諸説あります。Windows のバージョンや設定で、表示が変わることもあります。

2-6. チャレンジ:メモ帳を使わずに、ファイルを扱う

ここまでで基本は終わりです。ここからは、力試しです。メモ帳を開かずに、ターミナルだけでファイルの中身を見たり、書き足したり、探したりしてみましょう。必須ではないので、気軽に挑戦してください。C:\work\practice にいる状態で始めます(cd C:\work\practice で移動できます)。

🎯 チャレンジ1 ★☆☆ メモ帳を開かずに、中身を見る

memo.txt の中身を、cat ではなく type というコマンドで表示してみましょう。

ヒント

cat memo.txt の cat を、type に変えるだけです。

こたえと解説
type memo.txt
PS C:\work\practice> type memo.txt
hello

type も cat も、同じ働きをします。PowerShell では、ひとつのコマンドに、いくつもの別名(エイリアス)がついています。type は、昔のコマンドプロンプトで使われていた名前です。

本当の名前別名働き
Get-Contentcat、typeファイルの中身を表示する
Get-ChildItemls、dirフォルダの中身を一覧する
Get-Locationpwd今いる場所を表示する
Set-Locationcdフォルダを移動する
🎯 チャレンジ2 ★★☆ メモ帳を開かずに、書き足す

memo.txt の最後に、second line という1行を、メモ帳を開かずに書き足してみましょう。書き足したら、type memo.txt で確かめます。

ヒント

「追加する」という意味の英語は Add です。Add-Content ファイル名 "書き足す文字" という形で使います。文字は " で囲みます(半角です)。

こたえと解説
Add-Content memo.txt "second line"
type memo.txt
PS C:\work\practice> Add-Content memo.txt "second line"
PS C:\work\practice> type memo.txt
hello
second line
手順8で、最後に Enter を押した理由 Add-Content は、ファイルの最後の続きに文字を書き足します。もし hello のあとに改行がないと、hellosecond line のように、同じ行にくっついてしまいます。くっついてしまったら、メモ帳で開いて、直せます。
似たコマンド Set-Content は、上書きする Set-Content は、ファイルの中身を全部入れ替えます。すでにあるファイルに使うと、元の内容が消えます。書き足したいときは Add-Content です。
🎯 チャレンジ3 ★★☆ 文字を探す

まず、次のコマンドで、2つのファイルを作ります。

Set-Content fruits.txt "apple","banana","cherry"
Set-Content animals.txt "cat","dog","bird"

この2つのファイルと memo.txt の中から、「apple」という文字が入った行を探してください。どのファイルの、何行目にありますか? 次に、second という文字も探してみましょう。

ヒント

「文字列を選び出す」という意味の英語を、くっつけた名前のコマンドがあります。Select-String 探す文字 ファイル名 という形で使います。ファイル名の代わりに *.txt と書くと、.txt で終わるファイルすべてが対象になります。

こたえと解説
Select-String apple *.txt
Select-String second *.txt
PS C:\work\practice> Select-String apple *.txt

fruits.txt:1:apple
PS C:\work\practice> Select-String second *.txt

memo.txt:2:second line

表示は「ファイル名 : 行番号 : その行の内容」の形です。apple は fruits.txt の1行目、second は memo.txt の2行目にありました。

  • * は「何でも当てはまる」という意味の記号です(ワイルドカード)。
  • 大文字と小文字は、区別されません。Apple で探しても見つかります。
  • メモ帳で1つずつファイルを開いて探すより、ずっと速く、数が増えるほど便利になります。Git でも、「どの変更に、この文字が入っているか」を探す場面があります。
🎯 チャレンジ4 ★★☆ 相対パスと絶対パスで、同じファイルを読む

C:\work\practice にいる状態で、memo.txt を、次の2通りの書き方で表示してください。

  1. 相対パスで表示する
  2. 絶対パスで表示する

次に、cd C:\ で C:\ に移動してから、同じ2つのコマンドをもう一度打ってみましょう。結果は、同じでしょうか? 違うなら、なぜでしょうか?

ヒント

相対パスは「今いる場所から」の書き方です。C:\ の中に、memo.txt はあるでしょうか。

こたえと解説
type memo.txt
type C:\work\practice\memo.txt

C:\work\practice にいるときは、どちらも同じ結果(memo.txt の中身)になります。

C:\ に移動してから、もう一度打つと、次のようになります。

  • type memo.txt(相対)→ エラー。今いる C:\ の中に、memo.txt がないためです。
  • type C:\work\practice\memo.txt(絶対)→ 表示できる。どこにいても、同じ場所を指すためです。

最後に、cd C:\work で、学習用フォルダに戻っておきましょう。

チャレンジは、これからの章にも、時々入ります。

2-7. 便利な使い方

操作効果
Tab キー途中まで打った名前を、自動で補ってくれる。cd pra と打って Tab を押すと cd practice になる。打ち間違いも減る
↑ キー前に打ったコマンドを呼び出す。何度も押すと、さらに前のコマンドが出る
cd C:\work今どこにいても、学習用フォルダに戻れる
cls画面をきれいにする(ファイルやフォルダは消えない)
エラーが出ても慌てない 間違えたコマンドを打つと、赤い文字でエラーが出ます。ほとんどの場合、何も壊れていません。「打ち間違い(スペース、全角、名前の綴り)」をまず疑い、↑ キーで前のコマンドを呼び出して直してみてください。

2-8. 安全のために:消すコマンドは、まだ使わない

この章で使ったコマンドは、すべて「見る・移動する・作る」だけで、何かを失うことはありません。

ファイルやフォルダを消す rm(Remove-Item)というコマンドもありますが、エクスプローラーの「ごみ箱」と違い、消したものは元に戻せません。間違えると、大切なファイルが戻らなくなります。この教材では、必要になる時まで使いません。

やりたいことエクスプローラーコマンド注意
コピーCtrl+C → Ctrl+Vcp同じ名前があると上書きされる
移動・名前変更ドラッグ、F2mv同じ名前があると上書きされる
削除Delete(ごみ箱へ)rm元に戻せない
コマンドの早見表 この教材に出てくるコマンドは、付録A「よく使うコマンド一覧」に、まとめています。忘れたときは、そこを見てください。

確認クイズ

Q1. 今いるフォルダを確認するコマンドは?

pwd。プロンプト(行の先頭)にも、現在地が表示されている。

Q2. C:\work\practice にいるとき、C:\work に戻るコマンドは?

cd ..。(cd と .. の間に、半角スペースを入れる)。cd C:\work でも戻れる。

Q3. ターミナルで作ったフォルダは、エクスプローラーで見えますか?

見える。ターミナルもエクスプローラーも、同じファイルとフォルダを操作しているため。

Q4. cd practice が動かないとき、まず疑うことは?

打ち間違い。cd と practice の間の半角スペース、全角の文字や記号が混ざっていないか、practice フォルダがある場所(現在地)にいるか、を確認する。

Q5. C:\work にいるときと、C:\Users\taro にいるときで、cd practice の結果は同じですか? また、その理由は?

同じにならない。practice は相対パス(今いる場所からの書き方)なので、今いる場所が変わると、指す場所が変わる。C:\work にいれば移動できるが、C:\Users\taro にいると、そこに practice がないのでエラーになる。

Q6. 次のうち、絶対パスはどれですか? ① C:\work\practice ② practice ③ ..

①。ドライブ名(C:)から始まっているものが絶対パス。②と③は、今いる場所からの書き方なので、相対パス。

Q7. 演習を、デスクトップではなく C:\work で行うのはなぜですか?

デスクトップなどは、OneDrive が自動で同期していることがあり、Git の記録とぶつかって問題が起きる原因になるため。

話し合おう・考えてみよう